冒険の書 ~ゲームブック「永劫選択」~

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アーウィットの町・あの鐘を鳴らすのはどなた?


「ディン、ドーン! ディン、ドーン! 鐘の音だ!
だが、それは決して大きな音ではなかった。むしろ、小さなものであった。」p181

まずは、外の獣たちがその音に反応した。
次には何者かの絶叫、奇声がした。

不快感と嫌悪感が募ってくる…。
「にわかには信じ難かった。
円形要塞の鐘塔で鳴る鐘の音が、このような場所まで響くなどとは……。」p181

一分ほど経って、鐘の音が止んだ。
外の獣たちは既に吠えていない。今は静寂に包まれている。

主人公の身体が急に熱くなり、動悸が激しくなった。
グランカ病の深刻な症状を凌駕するほどに苦しい…。

だがその苦しみが終わるや、旅の疲労が吹き飛んだ! 
主人公の力が湧いてくる!
それは爽快なものではなく、どこか荒々しいものだった。
主人公は自分の迸る力に喜んだ。
そして主人公は、他人を傷つけたい衝動に駆られた。

主人公は悪の鐘の魔力に支配されてしまった。

「町から悲鳴、絶叫、歓喜、激高の声が至る所から聞こえてきた。
あなたも気付けば咆哮し、そして床を転げ回っていた。」p182

だが主人公は、悪の鐘の魔力に支配されながらも、
冷静な視野を完全には失っていなかった。
主人公は凄惨な幼少時代を否定している。
主人公はあの時の自分と、悪の鐘に魅了され始めた今の自分が同じだと感じたのだ。

そして、「確定された死」の現実は主人公の自我を呼び戻す。
主人公の未来は常に死と隣合わせだ。
危険な罠、危険な悪徒、危険な魔物…。
たとえそれらを潜りぬけたとしても、
主人公には「確定された死」が待っている。

主人公の心の根っ子は腐っていなかった、ということだろう。
その証拠に、自分の残された短い命をこの任務のために、
いや悪の鐘に苦しむ者たちに使うつもりなのだ。

「おれは しょうきに もどった」もとい、
「あなたは不動心を取り戻したのだ!」p183






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by Electio-Aeterna | 2016-09-30 14:05 | 14.アーウィットの町 | Comments(0)